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無我夢中の30年・初志を取戻す

 開業して30年も経ちますと、お客様も皆皆々で、業種、経営規模、経営組織、管理会計組織等どれをとってもまさに千差万別です。こういったお客様を迎えて、内部統制組織・会計組織の立案に始まり、月次巡回監査のチェックリスト立案、そして月次巡回の実施等の取扱業務をお客様に提供してきたのです。かなりの苦労もありましたが、やり甲斐のある無我夢中の30年でした。しかし一方、私はこの無我夢中の30年の間に初志を忘れかけていたのです。イメージ
私は昭和22年に計理士登録をしたのですが、このとき私は計理士報酬規定の解釈に疑義を持ったので、先輩計理士に質問したことがありました。そしてその先輩計理士からそれの回答というよりはむしろ計理士業務の心得の諭しともいえるほどの懇切丁寧な回答を頂き、恐縮したことがありました。それは、


「計理士業務の根幹は監査業務であって、この業務の前提となるのが「会計組織の立案業務」(内部統制組織)であるから、ここのところをしっかりと捉えて業務の研鑚に務めることが肝要である。」

ということであり、後に制定された監査基準・監査実施準則を予見したかのようなものでした。この論旨はたいへんに学問的であり、後に直接にご指導をいただくようになった黒澤清先生の名著「職業会計人の実践哲学」 福沢諭吉の「学問のすすめ」と「帳合之法」の研究で、


"職業と学問とは、車の両輪であるとともに、相互関連しつつ進歩するものである。学問の進歩は職業に影響し、職業の成熟は、学問の成熟をうながすのである。職業会計人の世界において、この事実を実証したものが、福沢諭吉の「学問のすすめ」と「帳合之法」にほかならないと私は思う。"

といわれたことと符号一致したものでありました。
 私は、昭和52年11月に、石川忠雄先生ほか三先生から「初志を貫け」という指針をいただき、59年10月には黒澤清先生から、前掲出版物の予告的掲示を信書でいただき、豁然として迷妄から解き放たれ、昭和22年の先輩計理士の教えに回帰したのでした。

初志とは何だったのか



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